組み込みエンジニア養成テキスト

8日目：シリアル通信基礎

午前セッション：シリアル通信プロトコルの基礎

UART (Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)

• UARTは非同期シリアル通信の代表的なプロトコルです
• 送信側と受信側で事前に決められた通信パラメータが重要
  • 通信速度（ボーレート）
  • データビット長（通常8ビット）
  • パリティビット
  • ストップビット

sequenceDiagram
    participant Tx as 送信側
    participant Rx as 受信側
    Tx->>Rx: スタートビット
    Tx->>Rx: データビット
    Tx->>Rx: パリティビット（オプション）
    Tx->>Rx: ストップビット

I2C (Inter-Integrated Circuit)

• マルチマスター/マルチスレーブ通信が可能
• SDA（データ線）とSCL（クロック線）の2本の配線で通信
• デバイスアドレスによる通信対象の特定

graph TD
    A[マスターデバイス] -->|SDA| B[スレーブデバイス1]
    A -->|SCL| C[スレーブデバイス2]
    A -->|通信| D[スレーブデバイス3]

SPI (Serial Peripheral Interface)

• 同期式のシリアル通信プロトコル
• MOSI、MISO、SCK、SSの4本の配線
• 高速通信が可能
• マスター/スレーブ構成

graph TD
    A[マスター] -->|MOSI| B[スレーブ1]
    A -->|MISO| B
    A -->|SCK| B
    A -->|SS| B

午後セッション：実践的通信技術

通信波形の観測実習

• オシロスコープを使用した通信波形の分析
• 各プロトコルの特徴的な波形パターンの理解
  • UARTのスタート/ストップビット
  • I2Cのスタート/ストップコンディション
  • SPIのクロック同期

実機での通信確認

• マイコンを使用した実践的な通信実習
• 各プロトコルの実装と動作検証
  • UARTによるシリアルモニタ通信
  • I2Cセンサーからのデータ読み取り
  • SPIによるEEPROMとの通信

トラブルシューティング演習

• 通信エラーの原因特定と対策
  • 配線ミス
  • 通信パラメータの不一致
  • ノイズ対策
• デバッグツールの活用
  • ロジックアナライザ
  • シリアルモニタ
  • オシロスコープ

注意点と推奨事項

• 通信速度と信頼性のトレードオフを理解する
• 各プロトコルの特性と適切な用途を学ぶ
• 実機を使った実践的な経験が重要

参考文献

• 組み込みシステムにおける通信プロトコル
• マイコン活用テクニック
• 電子回路設計ハンドブック