組み込み開発ツールと手法コース¶
目次¶
はじめに¶
このコースは、組み込みソフトウェア開発における重要なツールの使用方法と効果的な開発手法について学ぶための2週間のカリキュラムです。現代の組み込みソフトウェア開発において不可欠なバージョン管理、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)、そしてデバッグ技術について、実践的な演習を通じて習得します。
前提条件¶
- C/C++によるプログラミングの基本的な知識
- Linux基本コマンドの理解
- 組み込みシステムの基礎知識
コース概要¶
mindmap
root((開発ツールと手法))
Week 1
Gitの基本と応用
リポジトリ管理
ブランチ戦略
コンフリクト解決
CI/CD
GitLab CI
Jenkins
自動テスト
Week 2
デバッグ技術
GDB基礎
リモートデバッグ
トレース技術
ログ解析
性能分析
Week 1: バージョン管理とCI/CD¶
Day 1-2: Gitの基本¶
1. Gitの基本概念¶
- バージョン管理の重要性
- ソースコードの変更履歴管理
- チーム開発での協調作業
-
問題発生時の原因追跡
-
基本的なGitコマンド
git init: リポジトリの初期化git clone: リポジトリのクローンgit add: ステージングエリアへの追加git commit: 変更の確定git push: リモートリポジトリへの送信git pull: リモートリポジトリからの取得
2. 実践演習:基本的なGit操作¶
sequenceDiagram
participant W as 作業ディレクトリ
participant S as ステージングエリア
participant L as ローカルリポジトリ
participant R as リモートリポジトリ
W->>S: git add
S->>L: git commit
L->>R: git push
R->>L: git pull
Day 3-4: 高度なGit技術¶
1. ブランチ戦略¶
- GitFlow概要
- masterブランチ
- developブランチ
- featureブランチ
- releaseブランチ
-
hotfixブランチ
-
ブランチ操作
git branch: ブランチの作成と管理git checkout: ブランチの切り替えgit merge: ブランチの統合git rebase: 履歴の整理
2. コンフリクト解決¶
- コンフリクトの発生原因
- 解決手順と best practices
- マージツールの使用方法
Day 5: CI/CDの基礎¶
1. CI/CDの概念¶
- 継続的インテグレーション
- 自動ビルド
- 自動テスト
-
コード品質チェック
-
継続的デリバリー
- 自動デプロイ
- 環境管理
- リリース管理
graph LR
A[コード変更] --> B[自動ビルド]
B --> C[自動テスト]
C --> D[コード品質チェック]
D --> E[自動デプロイ]
E --> F[動作確認]
F --> G[リリース]
Day 6-7: GitLab CI/CD¶
1. GitLab CIの設定¶
.gitlab-ci.ymlの書き方- パイプラインの設定
- 環境変数の管理
2. 実践演習:CI/CDパイプラインの構築¶
Week 2: デバッグ技術とツール¶
Day 8-9: GDBによるデバッグ¶
1. GDBの基本¶
- 基本コマンド
run: プログラムの実行break: ブレークポイントの設定print: 変数の表示step: ステップ実行-
continue: 実行再開 -
デバッグ情報の見方
- バックトレース
- レジスタ情報
- メモリマップ
2. リモートデバッグ¶
- GDBサーバーの設定
- JTAGデバッガの使用方法
- クロスデバッグの手順
sequenceDiagram
participant D as 開発PC
participant G as GDBサーバー
participant T as ターゲットボード
D->>G: デバッグ接続要求
G->>T: JTAGデバッグ接続
T->>G: デバッグ情報送信
G->>D: デバッグ情報表示
Day 10: メモリ解析とトレース技術¶
1. メモリダンプ解析¶
- メモリマップの理解
- スタック解析
- ヒープ解析
2. ログ解析とトレース¶
- ログレベルの設定
- トレースポイントの活用
- パフォーマンス分析
評価方法¶
1. 日々の演習レポート(40%)¶
- 実習内容の記録
- 問題解決プロセスの説明
- 学んだ内容の要約
2. 実践演習の成果物(30%)¶
- Gitリポジトリの管理状態
- CI/CD設定の完成度
- デバッグレポートの品質
3. 最終プロジェクト(30%)¶
- 開発環境の構築
- バージョン管理の適切な利用
- デバッグ技術の応用
環境構築ガイド¶
1. 必要な機材¶
- 開発用PC
- CPU: Intel Core i5以上推奨
- メモリ: 8GB以上推奨
- ストレージ: SSD 256GB以上推奨
-
OS: Ubuntu 22.04 LTS推奨
-
開発ボード
- STM32 Nucleo Board
- ST-LINK/V2デバッガ
- USBケーブル
2. ソフトウェアのインストール¶
3. 環境構築の確認¶
以下のコマンドで各ツールが正しくインストールされていることを確認します:
注意:このテキストは継続的に更新される可能性があります。最新版は常にオンラインで参照してください。
組み込み開発ツールと手法コース1¶
コース概要1¶
本コースは、組み込みソフトウェア開発において必要不可欠な開発ツールの使用方法と効率的な開発手法について学ぶ2週間のコースです。
学習目標¶
- Gitを用いた効率的なバージョン管理手法の習得
- CI/CDパイプラインの構築と運用方法の理解
- デバッグツールを使用した効果的なトラブルシューティング手法の習得
- チーム開発における各種ツールの活用方法の理解
Week 1: バージョン管理とCI/CD¶
Day 1: Gitの基本¶
1. バージョン管理の概念¶
- バージョン管理の必要性
- 集中型と分散型バージョン管理システムの違い
- Gitの基本概念
- リポジトリ
- コミット
- ステージング
2. Git基本コマンド¶
- リポジトリの初期化(git init)
- 基本的なワークフロー
- git add
- git commit
- git status
- git log
- .gitignoreの設定
実習課題¶
- ローカルリポジトリの作成
- 基本的なGitコマンドの実行
- 適切な.gitignoreファイルの作成
Day 2: Gitの高度な使用法¶
1. ブランチの概念と操作¶
- ブランチの作成と切り替え
- マージの基本
- コンフリクトの解決方法
2. リモートリポジトリの操作¶
- リモートリポジトリの追加
- プッシュとプル
- フェッチとマージ
gitGraph
commit
branch develop
checkout develop
commit
branch feature
checkout feature
commit
commit
checkout develop
merge feature
checkout main
merge develop
実習課題¶
- フィーチャーブランチの作成とマージ
- コンフリクト解決の実践
Day 3: Gitブランチ戦略とチーム開発¶
1. Git-flowモデル¶
- masterブランチの役割
- developブランチの運用
- featureブランチの管理
- releaseブランチの使用方法
- hotfixブランチの運用
2. プルリクエストの活用¶
- プルリクエストの作成
- コードレビューの実施
- マージの承認プロセス
実習課題¶
- チームでのGit-flow実践
- プルリクエストの作成とレビュー
Day 4: CI/CDの基本¶
1. CI/CDの概念¶
- 継続的インテグレーション
- 継続的デリバリー
- 継続的デプロイメント
2. GitLabを使用したCI/CD環境構築¶
- GitLab CI/CDの基本設定
- .gitlab-ci.ymlの作成
- パイプラインの設定
flowchart LR
A[コード変更] --> B[ビルド]
B --> C[テスト]
C --> D[静的解析]
D --> E[デプロイ]
実習課題¶
- 基本的なCI/CDパイプラインの構築
- 自動ビルドとテストの設定
Day 5: CI/CDパイプラインの応用¶
1. 高度なパイプライン設定¶
- マルチステージパイプライン
- 条件付きパイプライン
- 環境変数の活用
- アーティファクトの管理
2. 自動化テストの統合¶
- ユニットテストの自動実行
- コードカバレッジの計測
- 静的解析ツールの統合
実習課題¶
- 本格的なCI/CDパイプラインの構築
- テスト自動化の実装
Week 2: デバッグ技術とツール¶
Day 6: GDBの基本¶
1. GDBの概要¶
- デバッガの役割
- GDBの基本機能
- コマンドラインインターフェース
2. 基本的なデバッグ操作¶
- ブレークポイントの設定
- ステップ実行
- 変数の監視
- バックトレースの表示
実習課題¶
- GDBを使用した基本的なデバッグ
- プログラムの動作解析
Day 7: GDBの高度な使用法¶
1. 条件付きブレークポイント¶
- ブレークポイントの種類
- 条件式の設定
- カウンタの使用
2. データ構造の解析¶
- メモリの内容表示
- 構造体の解析
- ポインタの追跡
実習課題¶
- 複雑なデータ構造のデバッグ
- メモリ関連バグの特定
Day 8: リモートデバッグ¶
1. リモートデバッグの設定¶
- GDBサーバーの設定
- ターゲットへの接続
- JTAGデバッガの使用
2. 組み込みシステムのデバッグ¶
- クロス開発環境でのデバッグ
- ハードウェア依存の問題解析
- リアルタイムデバッグ
sequenceDiagram
participant Dev as 開発PC
participant JTAG as JTAGデバッガ
participant Target as ターゲットボード
Dev->>JTAG: デバッグ接続要求
JTAG->>Target: JTAG接続確立
Dev->>Target: プログラム転送
Dev->>Target: ブレークポイント設定
Target->>Dev: 実行状態通知
実習課題¶
- STM32ボードのリモートデバッグ
- 実機でのデバッグ実践
Day 9: メモリ解析とトレース¶
1. メモリダンプの解析¶
- メモリダンプの取得方法
- ダンプファイルの解析
- メモリリークの検出
2. トレース技術¶
- トレースポイントの設定
- ログの収集と解析
- パフォーマンス測定
実習課題¶
- メモリリークの特定と修正
- トレースログの解析
Day 10: 総合演習¶
1. 実践的なデバッグ演習¶
- 複合的なバグの解析
- システム全体のデバッグ
- パフォーマンス最適化
2. チームでのトラブルシューティング¶
- 問題の切り分け
- デバッグ情報の共有
- 修正計画の立案
最終課題¶
- 総合的なデバッグプロジェクト
- チームでのバグ解析と修正
評価基準¶
- 日々の演習課題の完了状況(40%)
- チーム活動への貢献(30%)
- 最終課題の完成度(30%)
参考資料¶
オンラインリソース¶
- Git公式ドキュメント: https://git-scm.com/doc
- GitLab Documentation: https://docs.gitlab.com
- GDB Documentation: https://sourceware.org/gdb/documentation/
推奨図書¶
- 「実践 Git」
- 「Jenkins実践入門」
- 「デバッガによるトラブルシューティング技法」