Week 1: C言語基礎¶

日程概要¶

Day 1: C言語入門と開発環境設定
Day 2: 変数、データ型、演算子
Day 3: 制御構造（条件分岐とループ）
Day 4: 関数と配列の基礎
Day 5: 実践演習とデバッグ技術

Day 1: C言語入門と開発環境設定¶

1.1 C言語の歴史と特徴¶

UNIXオペレーティングシステム開発のために作られた経緯
高級言語でありながら低レベル操作が可能な特徴
移植性の高さと効率的な実行速度

1.2 C言語の利用分野¶

システムプログラミング
組み込みシステム開発
アプリケーション開発
ゲーム開発

1.3 開発環境のセットアップ¶

コンパイラのインストール（GCC for Linux/macOS, MinGW for Windows）
統合開発環境（IDE）の選択と設定（Visual Studio Code, Code::Blocks等）
コマンドラインでのコンパイルと実行方法

1.4 最初のC言語プログラム¶

#include <stdio.h>

int main() {
    printf("Hello, Embedded World!\n");
    return 0;
}

プリプロセッサディレクティブ（#include）の説明
main関数の役割
printf関数の基本的な使い方
セミコロンの重要性
return文の意味

1.5 コンパイルと実行プロセス¶

プリプロセス
コンパイル
リンク
実行可能ファイルの生成と実行

演習¶

開発環境のセットアップ
"Hello, Embedded World!"プログラムの作成と実行
プログラムの修正（自己紹介文の出力等）

Day 2: 変数、データ型、演算子¶

2.1 変数の基本概念¶

メモリ上の記憶領域としての変数
変数の宣言と初期化
命名規則とベストプラクティス

2.2 基本データ型¶

データ型	サイズ (典型的)	値の範囲	用途
char	1 バイト	-128 to 127 or 0 to 255	文字、小さな整数
int	4 バイト	-2,147,483,648 to 2,147,483,647	整数
float	4 バイト	1.2E-38 to 3.4E+38	単精度浮動小数点数
double	8 バイト	2.3E-308 to 1.7E+308	倍精度浮動小数点数

2.3 変数の宣言と初期化¶

int age = 25;
float height = 175.5f;
char grade = 'A';
double pi = 3.14159265359;

2.4 定数¶

'#define マクロ'
const キーワード

#define PI 3.14159265359
const int MAX_ARRAY_SIZE = 100;

2.5 型変換¶

暗黙の型変換（自動的な型変換）
明示的な型変換（キャスト）

int x = 10;
float y = 3.14;
int z = (int)y;  // 明示的な型変換

2.6 演算子¶

算術演算子（+, -, *, /, %）
関係演算子（==, !=, >, <, >=, <=）
論理演算子（&&, ||, !）
ビット演算子（&, |, ^, ~, <<, >>）
代入演算子（=, +=, -=, *=, /=, %=, <<=, >>=, &=, ^=, |=）
インクリメント/デクリメント演算子（++, --）

2.7 演算子の優先順位と結合性¶

演習¶

異なるデータ型の変数を宣言し、値を代入するプログラムの作成
簡単な計算プログラム（面積計算、温度変換等）の実装
ビット演算を使用した簡単なフラグ操作プログラムの作成

Day 3: 制御構造（条件分岐とループ）¶

3.1 条件分岐¶

3.1.1 if文¶

if (条件) {
    // 条件が真の場合の処理
}

3.1.2 if-else文¶

if (条件) {
    // 条件が真の場合の処理
} else {
    // 条件が偽の場合の処理
}

3.1.3 if-else if-else文¶

if (条件1) {
    // 条件1が真の場合の処理
} else if (条件2) {
    // 条件2が真の場合の処理
} else {
    // どの条件も満たさない場合の処理
}

3.1.4 switch文¶

switch (式) {
    case 定数1:
        // 処理1
        break;
    case 定数2:
        // 処理2
        break;
    default:
        // デフォルトの処理
}

3.2 ループ構造¶

3.2.1 for文¶

for (初期化; 条件; 更新) {
    // 繰り返し実行する処理
}

3.2.2 while文¶

while (条件) {
    // 条件が真の間繰り返し実行する処理
}

3.2.3 do-while文¶

do {
    // 最低1回は実行され、その後条件が真の間繰り返し実行する処理
} while (条件);

3.3 制御転送文¶

break
continue
goto（使用は推奨されない）

演習¶

成績判定プログラム（if-else文を使用）
簡易電卓プログラム（switch文を使用）
1から100までの素数を表示するプログラム（forループとif文を組み合わせて使用）
ユーザー入力による繰り返し計算プログラム（while文を使用）

Day 4: 関数と配列の基礎¶

4.1 関数¶

4.1.1 関数の定義と呼び出し¶

// 関数の定義
int add(int a, int b) {
    return a + b;
}

// main関数内での呼び出し
int result = add(5, 3);

4.1.2 関数プロトタイプ¶

int add(int a, int b);  // 関数プロトタイプ

4.1.3 引数の渡し方¶

値渡し
参照渡し（ポインタを使用）

4.1.4 再帰関数¶

int factorial(int n) {
    if (n <= 1) return 1;
    return n * factorial(n - 1);
}

4.2 配列¶

4.2.1 1次元配列の宣言と初期化¶

int numbers[5] = {1, 2, 3, 4, 5};

4.2.2 多次元配列¶

int matrix[3][3] = {
    {1, 2, 3},
    {4, 5, 6},
    {7, 8, 9}
};

4.2.3 配列の操作¶

要素へのアクセス
配列の走査
配列と関数の関係

4.3 文字列¶

文字列の表現（文字配列）
文字列操作関数（strcpy, strcat, strlen等）

演習¶

複数の数値の平均を計算する関数の作成と使用
再帰を使用したフィボナッチ数列の計算
配列を使用した簡単な成績管理プログラム
文字列の操作（逆順にする、大文字小文字変換等）を行うプログラム

Day 5: 実践演習とデバッグ技術¶

5.1 デバッグ技術¶

printfデバッグ
デバッガの使用（GDB基礎）
コンパイル時の警告の活用

5.2 コーディング規約とベストプラクティス¶

適切なコメントの書き方
命名規則
インデントとコードの整形

5.3 実践演習：温度変換プログラム（拡張版）¶

#include <stdio.h>

float celsius_to_fahrenheit(float celsius) {
    return (celsius * 9/5) + 32;
}

float fahrenheit_to_celsius(float fahrenheit) {
    return (fahrenheit - 32) * 5/9;
}

int main() {
    int choice;
    float temperature, converted;

    printf("温度変換プログラム\n");
    printf("1. 摂氏から華氏\n");
    printf("2. 華氏から摂氏\n");
    printf("選択してください (1 or 2): ");
    scanf("%d", &choice);

    if (choice == 1) {
        printf("摂氏温度を入力してください: ");
        scanf("%f", &temperature);
        converted = celsius_to_fahrenheit(temperature);
        printf("%.2f°C は %.2f°F です\n", temperature, converted);
    } else if (choice == 2) {
        printf("華氏温度を入力してください: ");
        scanf("%f", &temperature);
        converted = fahrenheit_to_celsius(temperature);
        printf("%.2f°F は %.2f°C です\n", temperature, converted);
    } else {
        printf("無効な選択です\n");
    }

    return 0;
}

5.4 追加の実践演習課題¶

簡易的な住所録プログラム（配列と構造体を使用）
数当てゲーム（乱数生成を含む）
簡単な文字列暗号化/復号化プログラム

5.5 週末プロジェクト¶

Week 1の学習内容を総合的に活用する小規模プロジェクト（例：簡易的な在庫管理システム、学生成績管理システム等）

まとめ¶

C言語の基本構文、データ型、制御構造の復習
関数と配列の基本的な使い方の確認
デバッグ技術とコーディング規約の重要性
実践的なプログラミングスキルの向上

次週の予告¶

Week 2では、ポインタと配列の詳細な関係、構造体、ファイル入出力など、より高度なC言語の概念について学びます。